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看板の勘定科目は何になる?仕訳方法を具体例付きで分かりやすく解説

更新日:2025年12月19日 11:21

看板の勘定科目は何になる?仕訳方法を具体例付きで分かりやすく解説

明るいオフィスで電卓と看板のデザイン図面を確認する日本人女性経理担当者

企業や店舗の看板を作った際、その費用を計上するのに適切な勘定科目をご存じでしょうか。看板の会計処理を誤ると、税務調査で指摘を受けたり、決算数値に影響が出たりする可能性があるので注意が必要です。

本記事では、看板の製作費用の内訳と勘定科目、仕訳方法を具体例付きでご紹介します。正しい勘定科目で税務処理を行い、ビジネスを円滑に進められるよう、ぜひ参考にしてみてください。

看板の費用は経費になる?

基本的に、看板にかかる費用は経費として計上可能です。

この際、看板製作にかかる費用の合計が10万円未満の場合、看板の種類を問わず一括で経費に計上できます。対して、費用が10万円以上の場合は、一括では経費として計上できず、減価償却を行わなくてはなりません(※)。

減価償却とは、時間の経過によって資産価値が下がっていく物の費用を分割して計上する会計処理です。看板の取得にかかった金額を耐用年数で分割し、その額を毎年計上します。耐用年数は資産計上できる税務上の年数を示しているので、看板の寿命と異なる点に注意しましょう。

※参考:国税庁「No.2100 減価償却のあらまし」(参照2025-10-20)

看板の製作費用の内訳

看板製作のワークショップで素材(木材や金属)を確認する職人の手元

看板の製作で生じる費用は、大きく分けて材料費・デザイン費・施工費・諸経費の4つです。

看板に使われる素材は、金属やアクリル、木材などさまざまです。設置場所が屋外か屋内かによって適した素材は異なり、価格も変わります。また企業のブランドイメージを重視する場合はデザイン費が大きくなることもあるでしょう。施工費は設置場所や工法によって変動し、許可申請や交通費などは諸経費に含まれます。これらの費用を合計したものが看板の製作費用です。

【具体例付き】看板の勘定科目と仕訳方法

看板の勘定科目には、建物付属設備・構築物・器具及び備品・消耗品の4つがあります。どの勘定科目に当たるかは、基本的に看板を設置する場所や看板の形によって決まります。ここでは、勘定科目の対象となる看板の種類や金額、耐用年数、実際の仕訳例を見ていきましょう。

建物付属設備

モダンな建物の外壁に取り付けられたお洒落な突き出し看板(袖看板)

建物に固定され簡単に取り外せない10万円以上の看板は「建物付属設備」に該当します。建物の壁面に埋め込まれている「突き出し看板」などがその例です。この看板の耐用年数は、金属製の場合は18年、その他の素材の場合は10年です(※)。

その他の素材で作られた突き出し看板の製作・設置に50万円がかかった際の仕訳は以下の通りです。

計上仕訳

借方 貸方 摘要
建物付属設備:50万円 普通預金:50万円 社名入りの壁面突き出し看板を設置

今回の例では看板の費用が50万円、耐用年数は10年のため、減価償却費は以下のように仕訳を行います。

減価償却仕訳

50万円 ÷ 10年 = 5万円/年

借方 貸方 摘要
減価償却費:5万円 建物付属設備:5万円 突き出し看板の減価償却費を計上
※参考:国税庁「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」(2025-04-01)

構築物

青空の下、緑豊かな郊外に設置された大きな野立て看板のフレーム

自由に動かせない看板を屋外に10万円以上で設置した場合は「構築物」に区分されます。代表的なものに、看板型広告の「野立て看板」や建物の屋上に設置される「塔屋看板」があります。同じ建物の敷地内に複数の看板がある場合は、個別の計上処理が必要なので注意しましょう。

構築物に該当する看板の耐用年数は金属製の場合は20年、その他の素材の場合は10年です(※)。

金属製の野立て看板の製作・設置に120万円がかかった場合の仕訳は以下の通りです。

計上仕訳

借方 貸方 摘要
構築物:120万円 普通預金:120万円 塔屋看板の設置

看板費用の120万円と耐用年数から算出した減価償却費の仕訳は以下のように行います。

減価償却仕訳

120万円 ÷ 20年 = 6万円/年

借方 貸方 摘要
減価償却費:6万円 構築物:6万円 塔屋看板の減価償却費を計上
※参考:国税庁「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」(2025-04-01)

器具及び備品

お洒落なカフェの入り口に置かれた移動式のA型スタンド看板

持ち運びが可能なスタンド看板やバナー看板で10万円以上のものは「器具及び備品」として処理します。店舗の入り口に置く小型の看板や、イベントで使用する移動式のスタンド看板などが含まれます。

器具及び備品の耐用年数は、素材や用途によって異なりますが、金属製の場合は10年、その他の素材の場合は5年です(※)。

金属製の小型看板を20万円で購入した場合の仕訳は以下を参考にしてください。

計上仕訳

借方 貸方 摘要
器具及び備品:20万円 普通預金:20万円 小型看板の購入

10万円以上の費用がかかっているため、耐用年数から以下のように減価償却費の仕訳を行います。

減価償却仕訳

20万円 ÷ 10年 = 2万円/年

借方 貸方 摘要
減価償却費:2万円 器具及び備品:2万円 小型看板の減価償却費を計上
※参考:国税庁「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」(2025-04-01)

消耗品

看板にかかる費用が10万円未満なら、消耗品費として一括処理が可能です。店頭用の看板を6万円で購入した場合は以下のように計上します。

計上仕訳

借方 貸方 摘要
消耗品費:6万円 現金:6万円 店頭に置く看板の購入

まとめ

看板の製作・設置費用は金額や設置方法によって勘定科目が異なり、処理を誤ると税務リスクにつながります。建物に固定されたものは「建物付属設備」、屋外で動かせないものは「構築物」、持ち運びできるものは「器具及び備品」、10万円未満の小規模な看板は「消耗品」として処理するのが基本です。

さらに、10万円以上の看板は減価償却処理が必要となり、素材によって異なる「耐用年数」の知識も必要です。自社の予算や設置目的に合わせて看板を購入した際は、正しい情報に基づいた会計処理を行いましょう。

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