看板の減価償却とは? 種類別の耐用年数や耐久年数との違いを解説

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看板の減価償却とは? 種類別の耐用年数や耐久年数との違いを解説

看板の減価償却とは?種類別の耐用年数や耐久年数との違いを解説

「看板を掲げる」「看板が泣く」「看板商品」等々、店や企業に関わる慣用句・言葉にもしばしば用いられる「看板」。

伝統的な同様の表現である「暖簾(のれん)」にも類するビジネスの象徴の一つですが、現物の看板は資産として減価償却の対象となることをご存じでしょうか。

本記事ではそんな看板の減価償却について、種類別の耐用年数や耐久年数との違いも合わせて解説します。

看板の減価償却とは?

そもそも減価償却とは、時間とともに減少していく資産の価値を、耐用年数に応じて事業年度の費用として分割計上する会計上の勘定科目です。

減価償却の対象になる資産は、建物や機械、備品等の長期使用を前提とするもので比較的取得価格が高額な傾向があります。経年劣化により資産価値が減じていくため、取得時に一括で費用とするのではなく、価値減少の実態に合わせて費用計上するという会計上の考え方があります。

看板も資産として分類されるものが多く、こうした減価償却の対象になる場合が多くあります。

以下で看板の減価償却が必要なケースと不要なケースを詳しく見てみましょう。

看板の減価償却が必要なケース

減価償却は長期で使用する資産に対するものが原則です。

看板は基本的に1年以上にわたる運用が想定されることから、消耗品ではなく資産として分類され減価償却が必要となります。

後で詳しく述べますが看板は種類ごとに「耐用年数」が法令で定められており、その期間を基準に費用を計上します。

看板の減価償却が不要なケース

一方、使用が1年未満で取得費用が10万円未満の看板の場合は、取得した額の全額を費用に計上できるため減価償却は不要です。

また時限措置として、資本金1億円以下の法人や、資本または出資を有しない法人のうち常時使用の従業員数が500人以下(令和2年3月31日までの取得などについては、1,000人以下)といった条件を満たす青色申告書の提出が必要な中小企業者等は、30万円未満で取得した看板については、その他の特例対象となる減価償却資産を含む合計300万円までを費用として一括計上することが可能です。

※出典:国税庁「No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」(2023-5-27)

看板の耐用年数は?

減価償却の期間を決定する基準となるものに、法で定められた資産の「耐用年数」があります。

看板については作りや形状によって適用になる勘定科目が異なり、それぞれの耐用年数は以下のとおりです。

  • 「器具及び備品(看板及び広告器具)」・・・3年(看板、ネオンサインなど)
  • 「建物附属設備(区分によらないもの)」・・・金属造で18年、その他では10年(ビルなど建物の壁面等に設置するもの)
  • 「構築物(広告用のもの)」・・・金属造で20年、その他では10年(土地の上に直接設置されているもの)

※出典:e-Gov法令検索「減価償却資産の耐用年数等に関する省令 」(参照 2023-5-27)

なお、後述しますがこの耐用年数とは必ずしも看板の使用可能期間を示すものではなく、器物としての寿命とは異なる概念であることに注意が必要です。

看板の主な種類別の耐用年数

一口に看板といっても多種多様な目的や用途があり、作りや形状はさまざまです。

ここでは主な看板の種類別に耐用年数をご紹介します。

スタンド看板:3年

店先などによく置かれている展開式のA型看板や、人力で持ち運びができる程度の小型看板のことを「スタンド看板」と呼んでいます。

勘定科目としては「器具及び備品」に分類され、耐用年数は3年と定められています。

袖看板・突き出し看板:18年

商業ビルでフロアごとに入居企業名などを示す縦長のものを「袖看板」、店名ロゴなどを掲示するものを「突き出し看板」といいます。

これらの勘定科目は「建物附属設備」で、金属造であれば耐用年数は18年です。

埋め込み式自立看板・野立て看板:20年

会社や店舗の入口など、敷地内に埋め込むように建てられたものを「埋め込み式自立看板」、道路沿いや線路沿いなどの野外敷地に設置されたものは「野立て看板」と呼ばれています。

敷地上に直接設けられることから勘定科目としては「構築物」に相当し、金属造であれば耐用年数は20年となります。

塔屋看板:20年

建物の屋上に設置された看板を「塔屋看板」といいます。

ビルや大型商業施設などの建築物に付随するパターンも多く、勘定科目は「構築物」となり金属造であれば耐用年数は20年です。

デジタルサイネージ:3年/18年

液晶ディスプレイなどを用いた看板は一括して「デジタルサイネージ」と呼ばれます。

スタンドタイプなど小型で持ち運びできる規模のものであれば勘定科目は「器具及び備品」で、耐用年数は3年です。

一方、ビルの壁面に埋め込むなど大規模なタイプであれば勘定科目は「建物附属設備」に相当し、金属造であるため耐用年数は18年になります。

看板の耐用年数と耐久年数との違い

ここでよく似た二つの言葉である、看板の「耐用年数」と「耐久年数」の違いを確認しておきましょう。

耐用年数とはこれまで見てきたとおり、減価償却の期間を決めるために法律で定められた基準のことを指しています。

一方の耐久年数は問題なく使用できる期間の目安です。耐用年数=耐久年数ではありません。状況によっては耐用年数を大きく超えて使用できる可能性もあり、温度や湿度、風雪などの環境によっても変化します。

耐用年数は法律で定められているため延長することはできませんが、耐久年数はあくまでも目安の期間であるため、使用方法や環境に配慮することによって伸ばすことが可能です。

まとめ

企業や店舗の象徴でもあり、常設の広告塔としても機能する看板。

伝統ある基礎的なマーケティングツールの一つともいえる看板には、各社各店のこだわりや思いが込められているもの。

そんな重要な資産だからこそ、法的な分類を踏まえた減価償却の仕組みを適切に把握しておくことが必要です。

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